とある編集者の晒しな日記

コンクリートジャングル東京の編集プロダクションに勤めるライターの実験室

「女子力」という言葉は廃れていくのか?

 またしても時間がないので勢いで書かせていただく。

 

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先日女性の同僚の先輩から、手作りのお菓子の差し入れを受けた。 クッキーである。健康志向で体に良さそうなシリアルが入っていて、甘い物があまり得意でない私も素直に美味しいと思った。

 

そこでだ。私はその先輩に何かお礼を言いたいと思った。

1.「女子力が高い」というのをやめた

咽喉まで出かかった言葉を押しとどめた。先輩の女性は40代後半くらいの独身女性である。「女子力が高いですね!」と言いかけて、言い淀んだ。 相手にとって、「女子力」という言葉が褒め言葉に当たるのかがわからなかったからだ。

 

そもそも、「女子力が高い」とはどういう意味だろうか。手作りのお菓子を作って会社に持ってきて配ることぐらい、別に男性にだってできるはずだ。少なくとも、「女性を一括りにしないでほしい」と言われて育ったはてな住民の私は、経験上そこで躊躇するくらいのデリカシーがなければならないだろう。

 

しかし、私は先輩の気遣いを思って率直に「女子力が高い」と思ったのだ。はたしてこれは悪いことだろうか?

2.「女子」の定義うんぬんでは無い

言っておくが、40代後半だから「女子」という定義に収まるのかの判断を逡巡したわけではない。「女子」という言葉が、子供扱いをする言葉ではないからだ。年配の女性が「女子会開こう!」といってもなんとも思わない。また、50、60代の男性が「ガテン系男子」と言おうが、「草食系男子」と言おうがそれもどうでもいい。一人称を指す言葉であれば、自ら男子を使いたければ男子を使えばいいし、女子はいつまでたっても女子でいいのだ。自身が不快と思わない限り使っていいと思う。

 

つまり、ここで問いたいのは「女子力が高い」と言われた立場の女性が不快に思うかどうかである。

3.「人間力」なのか?

この場合、どういう言葉を掛けるのが相手にとって最良だったのだろうか。そもそも「女子力が高い」と言われてカチンとくる女性は少ないと思われる。

 

しかし、新参者の私はどうあれ、この業界は言葉を扱う業界なのだ。(女子力をアピールするために持ってきたわけじゃねーぞ!)と思われる可能性はあった。特に、女性らしさをアピールするような言葉を嫌う傾向のある先輩なのである。「女子力」という言葉を使われることが快くない場合も考えられた。

 

かといって、人間力高いですね!」という言葉も褒め言葉になっているのか疑わしい。第一、そんな言葉を身近に聞いたことがない。

4.意味の無い言葉を使った

結局、語彙力の無い私の口をついて出た言葉は、「手作りなんてすごいですね!」だった。はっきり言って、この場合「すごい」というのは一番響かないであろう言葉である。

 

味については、「健康的だし、あっさりしていて美味しい」とうまく表現できたと勝手に思っているが、「すごいですね!」は特段必要の無い言葉だと思う。しかし、その時はそれ以外にかける言葉が見当たらなかったのである。

5.TPOに合わせて使っても良いのではないか

結論を言うと、「女子力が高い」と言われて癪に障る女性と言うのは、非常に少ないと思われる。しかし、少なくとも若輩者の私がこの時に使っていたら、「女子力が高いってどういう意味よ?」と責められていた可能性は否定できない。

 

女性を一括りにしたいのではなくて、その女性の人間性を尊重したいのだ。ただ、その方がたまたま女性だったから、「女子力が高い」という言葉がぴったりと当てはまると思っただけで、他意は無いのである。

 

仮に手作りのお菓子を作って出してくれたのが男性だったらどうだろうか。「気が利きますね!」は同年代だったら使っても良いかも知れないが、年配の男性に「気が利く」という言葉を使うのも気が引ける。普段は気が利かないように受け取られかねないからだ。

 

「お心遣いありがとうございます!おいしくいただきます」くらいが無難だろうか。このような場面にはなかなか出くわさないだろうが、可能性がゼロとも限らないので語彙はあるに越したことはないだろう。

 

ジェンダーの専門家でもない限り、「女子力が高い」は女性としての尊称をさらに讃えているだけなのだから、不快になるはずはないと思っているのだが、妙なところで引っ掛かってしまった。本来そう難しく考える必要はないのかもしれないが、言葉というものは本当に難しいと感じる今日この頃である。